着生ランの気根のペクチンの濃度
 宇井清太のペクチ潅水法を行う場合、若い根と3から6ヶ月ほどの成熟した根の違いがある。
 発根して間もない若い根は、ランから見れば非常に大切な根であるから、
 濃いペクチンで分厚く新根を保護している。
 成熟した根では、真っ白になった根にスコールが降れば、数分でペクチンは溶け、
 外皮の発達したスポンジ状の組織に水は入り保存される。
 しかし、若い根ではほとんどペクチンは水で溶けることはなく、
 吸水貯水よりも、根の保護に重点が置かれる。
 紫外線、乾燥、高温から守る働きである。

 バークとSUGOI-neの違いは、ペクチンの有無である。
 同じ木質素材であるが、バークは微生物にペクチンを食べさせたカスである。
 したがってSUGOI-neのような毛細管現象がない。
 軽石を木質で置き換えたもの。
 夛孔質という点で用いられたもの。

 
 カトレア。
 なぜ、水ゴケをカラカラ乾燥させても生きられるのか。
 SUGOI-ne栽培と水ゴケのカラカラ乾燥栽培の違いはどこからくるのか。
 その答えはペクチンとラン菌にある。
   ランには同じ属でありながら「着生ラン」「地生ラン」を持つものがある。
   このようなランに共通するものは根の根被に分厚いペクチンの層を具備していることである。
      Cymbidium、パフィオ、カランテ、リカステ・・・・・ものすごく多くのランがある。
   その他に、ネペンテス、サトイモ科の着生植物、君子ラン、アナナス、月下美人、クジャクシャボテン、
   カニバシャボテン・・・・・列記できないほど多くの植物がある。
   これらの植物に共通するものは根にペクチンの発達した層を備えていることである。
   根被に分厚い層の持つのは着生ランの専売特許ではない。
   ランが先輩植物を真似たのである。


  ラン科植物が独自に新発明したものはほとんど無い。
  ほとんど全て先輩植物の良いとこ取りを組み合わせて一つの植物に合成している。
  ランの愛好家は他の植物に目もくれないで「ラン」のみに傾倒することが多いが、
  これでは、なかなかランを上手に作れないことが多い。
  こういう場合は、他の植物を作ってランの頂上を目指すと良い。
  視野狭窄では・・・ランの実相が見えなくなる。
  この視野狭窄は固定観念、想像力欠如とも呼ぶことが出来る。
  しかし、日本には「家元制度」という優れた組織がある。
  これがラン栽培にも深く反映している。
  先生の言うこと、教えることを疑いも無く素直に聞き真似る人を・・・・良いお弟子さんという。
  人が作ったものなら・・・それでも良いけれども・・・・・
  ランは、植物は自然が作ったもの。
  自然が「家元」である!

 自然が造作したものを・・・なぜ・・・と研究するのは自然科学である。
 ラン栽培である。
 だが、蘭界には結社のような愛好会が多々ある。
 それに所属すると・・・・暗黙の組織拘束が発生する。
 自然を作るラン愛好が・・・自然に振舞えなくなる。

 そういうことで、なかなか・・・これまでのラン栽培から抜け出せない人が多いようである。

 ラン菌とペクチンを勉強すれば・・・SUGOI-ne栽培は無造作に成功する!
 
ペクチンについては、この講座の別項目で詳しく記述した。
ランを語るには、特に着生ラン、岩生ランを語るには、このペクチンを削除、無視しては語ることが出来ない。
が・・・・これまでラン界においてペクチンが説明された本のなければ、講座もない。
なぜ、着生ランは樹上で生活できるのか・・・・。
この根本がペクチンである。
熱帯雨林の地上50mの樹上が・・・・着生ランの天空の楽園だという。
なぜ、そんな場所を楽園???にすることが可能なのか。
それを可能にしたのが濃い糊であるペクチンである。


特に着生ランの根は強い紫外線に曝される
ランも、クンシランも・・・・その他の植物も、樹上を棲みかとしたとき、
最も重大な問題が・・・この紫外線であった。
地中の根をそのまま空中に露出させたら、多くの場合ほとんど生きられない。
根腐れではなく・・・根がミイラになる。

更に・・・乾燥をどうして防ぐか。
一般の植物の根の根毛では、樹上の乾燥では10分も生存出来ない。
根冠も直ぐに萎びて伸長できない。

更に、地上では土壌に多くの水分を保存するが、樹肌には水の保存が無い。
雨が降らない時どうする???
根に保存する????
乾燥防止はどうする・・・

更に、樹上は時にものすごい暴風、強風に襲われる。
この風害をどうして防ぐ???
根をどうやって樹肌に密着させはがれないようにする??
接着剤・・・でやる!
この強力な接着剤こそペクチンである。

以上のような問題を一挙に解決したのが「ペクチン」という素晴らしい「糊」である。
ペクチンで外回りの問題を解決しておき、養分の問題はラン菌が解決したのである。
実に上手く問題を解決したものである。
ペクチンの恩恵で水ゴケ栽培が可能になったといっても過言ではない!
それなのに・・・ペクチンの説明がラン界に無かった!
だから・・・ランの潅水は難しい!
ペクチンが根に白い糊を作ればランは水が欲しいのである。
ランが喉渇いて状態である。                        


ざーと簡単に考えただけでも・・・以上のような対応策が無ければ、
樹上で生存することは不可能である。
決して、ラン愛好家が思う楽園などではない!
ギリギリの生活をしているのが着生ランである。
こういう生活を優雅というのか????
この樹上の楽園を可能にしたのがペクチンとラン菌なのである!
しかし、ランの本を何冊見てもペクチンの記述が無い。
このペクチンにに言及したのは宇井清太のみである。
本当に不思議でこういうことがラン界にはあるのである。
あまりに植物分類学に傾斜した歪な姿がラン界である。
違いが解かるだけの世界!
あっちに属したものがこっち・・・だったということでアレコレ論文が出るのであるが、
視点と焦点の方向が違っていて盲点を作っている!
権威者、ベテランほど盲点に気付かないで講習会を行ったり本を書いたりするので、
初心者には正確な根本が伝わらないラン栽培になっている。


着生ランを説明する場合「ペクチンの科学」から入ると非常に解かりやすい。
そういうことで本講座ではペクチンについて詳しく説明しているので、
ペクチンの項目で深く勉強して下さい。

宇井清太がペクチンのことなぜ知っていたかというと、
山形県の寒河江市は戦後果樹栽培が盛んになり、
輸出用缶詰が行われた。
食品、缶詰工場では「ペクチン」というのは常識の成分である。
西洋ナシ。
収穫時はカチカチに固い。
ペクチンががっちり細胞と細胞を固着しているからである。
10日から2週間後熟させると・・・柔らかくなり食べごろになる。
この後熟というのは・・・ペクチンが老化して細胞と細胞の固着が緩くなるからである。
ペクチンの糊が・・・・酵素ペクチナーゼによって分解されるからである。

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      着生ランの命綱ペクチン 
       
                 
無視され続けられペクチン
                 ペクチンを知らなければ着生ランは語れない。